「MOTコレクション第3期 いまーかつて 複数のパースペクティブ」@東京都現代美術館
2020年2月15日
2020年2月16日
ダムタイプ展を満喫したついでに、「コレクション展」を覗く。東京都現代美術館は、東京の国立近代美術館、大阪の国際美術館と並んで、体系的に日本の戦後美術を収集しているから、勉強になる。やはり、アート作品は、オリジナルを見ておかないと。。。
展示のテーマは、「コレクターの視点」。戦後美術作品を体系的に収集し、これを美術館に寄贈・寄託している人たちのコレクションを展示している。アートを投機の対象やセルフ・ブランディングの手段程度にしか考えていない最近の日本の富裕層にはぜひ見習って欲しい、誠実な収集方針と独自の美意識が感じられてよかった。
展示作品の中では、草間彌生さんの渡米前の作品はいつ見てもはっとさせられるほど人間の深淵に迫っていて感動する。一連の戦争画も、当時の画家たちがどのような立場から軍部に協力していたかがわかって面白い。また、戦後すぐに活躍した石井茂雄や中村宏の作品も、社会の暗部を描いて迫力がある。
でも、今回の最大の発見は秀島由己男の「彼岸花」シリーズ。石牟礼道子さんの詩集に添えた版画作品。暗闇の中に浮かび上がる静物画の静けさ、美しさが印象的でとても気に入った。熊本の人らしい。こういう素晴らしい画家の作品を発見できるところが、コレクション展の魅力だと思う。まだまだアートの世界は奥が深い。
余談だけど、東京都美術館のホール部分を利用して、東京五輪公式ポスターが展示されていた。こんな人が?という意外なアーチストが国策イベントに作品を提供しているんですね。これは結構発見でした。10数年後に、美術史を専攻する学生がこれをテーマにどんな分析をするのだろうか。。。ちょっと楽しみ。