アレックス・プロヤス監督「スピリッツ・オブ・ジ・エア」
2020年8月16日
2020年9月7日
アレックス・プロヤス監督の「スピリッツ・オブ・ジ・エア」をレンタルDVDで観る。特に理由はない。シネマ・カリテでリバイバルされたので少し気になったという程度。1988年の作品で、日本では第一回ゆうばり国際ファンタスティック映画祭で審査員特別賞を受賞。91年には日本でも劇場公開されたとのこと。今回のDVDはデジタル・リマスター版である。
プロヤス監督の作品は、「クロウ/飛翔伝説」や「アイ、ロボット」を観ている。造型美の感覚は素晴らしいと思う。それは、この映画でも現れている。オープニングで、赤茶けた砂漠の中で楽器を奏でる女。地平線の向こうから男が歩んでくる。それを見て屋内に駆け込む女。その服の赤い色彩が強烈である。
映画は、この見知らぬ来訪者と、彼を迎える兄・妹の3名だけで展開していく。テーマは、飛ぶこと。兄は、人力飛行機で空を飛ぶことを夢見ている。見知らぬ来訪者が何ものかに追われて逃亡中だと知った兄は、妹の反対を押し切って、来訪者とともに新たな飛行機作成のプロジェクトに乗り出す。。。
夢と希望。謎めいてどこか狂気を感じさせる兄・妹。どこまでも広がる砂漠。その中にぽつんと立つ家の中は奇妙なオブジェであふれている。彼らが創り出した人力飛行機の造型もユニークである。確かにこの世界観には独特のものがあり、その後、プロヤス監督が切り拓いていく映像美にも通じるものがある。悪くない映画だと思う。ただ、できれば映像美だけに走らず、もう少し物語を追求してくれた方が良かったかもしれない。。。まあ、コマーシャルやミュージック・ビデオ系の出身の監督にはありがちなことではあるのですが。。。