柘植勇人監督「ロスト・ベイビー・ロスト」
私がツイッターでフォローしている数少ないフォロー記事で「ロスト・ベイビー・ロスト」がどうやらすごいらしいと言う記事が流れていたので、気になって見に行く。ツイッターの記事を総合すると、監督は京都造形芸術大学映画学科出身で、本作が初の一般公開作品であり、遺作だとのこと。完成を待たずに監督が亡くなったため、残されたスタッフ達が完成させ、上映にこぎ着けたようである。
物語は、何でも屋をしながらぶらぶらと毎日を過ごす陽平が、ある日家に戻ると、恋人の凛子が見ず知らずの赤ん坊を抱いていた。凛子は「赤ちゃん、持ってきちゃったみたい」と呟く。さっさと返してこいと言う陽平。しかし、凛子は赤ん坊にこだわる。これに巻き込まれる形で陽平も赤ん坊の世話をはじめるが。。。
どこまでが監督の意図で、どこまでが残されたスタッフの意図かがわからないのでなんとも言いようがないけれど、映画全体としてはやや唐突な印象を受ける。赤ん坊の物語が、気づいたら陽平の自分探しの物語になり、他者からおまえは何ものかと問いかけられ、父親との相克や母親探しの物語になる。バイクに乗って疾走する場面が長々と続いたと思うと、凛子と二人で動物園に遊びに行く場面が続く。様々な登場人物が登場し、様々なことを語るけれど、それがどうも焦点を結ばない。個々のアイディアは結構面白いけれど、それが全体として映画的になっているかというとどうもおぼつかない。そもそも、「ロスト・ベイビー・ロスト」というタイトルなのに、人形の赤ん坊しか出てこないところが自主上映映画のノリを出ない。やはり映画は難しい。。。
ツイッターには、今年度最大の問題作という書き方をする人もいて、それが割合に有名な映画評論家だったりするのでつい乗せられて見に行ったけれど、正直、面白くなかった。やっぱり、ツイッターというメディアには閉鎖性というか仲間意識がうまれてしまうようだ。これからは注意しなければ。。。