読書

鶴岡真弓編「芸術人類学講義」

鶴岡真弓編「芸術人類学講義」

2020年5月7日
人はなぜ芸術を必要とするのだろうか。自分自身を振り返っても、とにかく僕はアートが好きだ。視覚芸術だけとっても、現代アートも、いわゆる西洋美術も東洋美術も大好きである。遡って、たとえばネイティブ・アメリカンやアボリジニーのロックアートやサンド・アートにも惹かれるし、さらにい…
古井由吉著「白暗淵」

古井由吉著「白暗淵」

2020年4月25日
古井由吉さんへの追悼文をこのブログに書いてから、あっという間に2ヶ月近くが経ってしまった。あの頃は、まだ新型コロナウィルスについての危機感が日本ではまだ広まっておらず、海の向こうの人ごとのような空気があった。そんな中で、僕はかなり自覚的に外出や会合を控え、できる限りオンラ…
ミシェル・ウェルベック著「地図と領土」

ミシェル・ウェルベック著「地図と領土」

2020年3月30日
ミシェル・ウェルベック著「地図と領土」読了。とりあえず、文庫で出ているのは読み終えたので一息ついた感じ。 今回の主人公ジェドはアーチストである。工業製品を精密に撮影した写真シリーズから出発し、ついでミシェランの地図を独特との接写で撮影するシリーズでブレイクし、さらに様々な…
シモーヌ・ヴェイユ・アンソロジー

シモーヌ・ヴェイユ・アンソロジー

2020年3月18日
河出文庫「シモーヌ・ヴェイユ・アンソロジー」を読む。今村純子編訳。エッセイの選定も翻訳も素晴らしい。信頼できる専門家の信頼できるアンソロジー。シモーヌ・ヴェイユという人の思想が少し身近に感じられた気がする。 僕自身は、シモーヌ・ヴェイユについてはほとんど初心者である。「重…
森村泰昌著「自画像のゆくえ」

森村泰昌著「自画像のゆくえ」

2020年3月5日
森村泰昌さんの「自画像のゆくえ」を読む。言うまでもないけれど、森村さんはセルフポートレイト写真シリーズを手がける現代アートの第一人者。世界のどこの現代美術館でも、確実に森村さんの作品はコレクションに入っています。有名なところでは、「西洋美術史になった私」でモナリザになった…
古井由吉を巡って

古井由吉を巡って

2020年2月29日
古井由吉さんが亡くなった。内向の世代を代表する作家で、多くの作品を残した人の死を僕はまだうまく受け止められずにいる。改めて、彼の著作リストを眺めてみる。多分、僕は作品の3分の1たらずしか読んでないし、随筆・評論に至っては皆無だ。そういう意味で、僕はあまり良い読者ではなかっ…
諏訪敦彦著「誰も必要としてないかもしれない、映画の可能性のために:制作・教育・批評」

諏訪敦彦著「誰も必要としてないかもしれない、映画の可能性のために:制作・教育・批評」

2020年2月27日
諏訪敦彦「誰も必要としていないかもしれない、映画の可能性のためにー制作・教育・批評」を読む。諏訪監督初のまとまった著書で、今まで断片的にしかわからなかった諏訪監督の方法論や思考を知ることのできる貴重な資料。でも、それ以上に、諏訪監督の一貫した倫理的姿勢に深く心を動かされる…
カフカ著「訴訟」

カフカ著「訴訟」

2020年2月21日
カフカ「訴訟」読了。光文社古典新訳文庫、丘沢静也訳。面白い。もっと早く読んでいればよかった。。。 この物語は、わざわざ僕が紹介する必要もないぐらい有名だけど、とりあえず簡単に説明しておくと、ヨーゼフ.Kなる主人公(とある銀行の要職にある)が、ある朝、二人の監視人の訪問を受…
宮内悠介「カブールの園」

宮内悠介「カブールの園」

2020年2月16日
宮内悠介の「カブールの園」を読む。SFだと思って購入したら、SF色はほとんどなく、むしろ日系人のアイデンティティの葛藤を正面から描いた作品だった。だから三島賞受賞作なんですね。読み終わってから気づく間抜けな私。。。 宮内悠介の作品は、「ヨハネスブルグの天使たち」を読んで以…
川上弘美著「パスタマシーンの幽霊」

川上弘美著「パスタマシーンの幽霊」

2020年2月9日
川上弘美さんが雑誌「クウネル」に連載していた掌編をまとめたもの。食べ物と、ちょっと変わった人やモノ(時には幽霊や異世界の住人)と、どうも男運の悪い女性たち(大体において、登場人物は失恋したり独り身だったりする)をめぐるとてもとてもささやかではかない物語の断片。 こういうの…