ギレルモ・デル・トロ監督「ミミック」

ギレルモ・デル・トロ監督「ミミック」を観る。1997年、「クロノス」で注目を集めたデル・トロ監督が、米国に進出した初監督作品。ジョン・セイルズ、スティーブン・ソダバーグなどの豪華メンバーが脚本に入っている。これは発見。この作品は成功を収め、その後、シリーズ化されている。

物語は、ニューヨークのマンハッタン。原因不明の疫病がマンハッタンで流行し、子供たちがバタバタと死んでいく。どうやらウィルスはゴキブリが媒介しているようだということが判明する。有効な治療策がない中、疾病予防管理センターは昆虫学者に依頼し、ゴキブリを駆除する新種の遺伝子操作された昆虫をマンハッタンに放つ。これが威力を発揮し、疫病は鎮静化する。しかし、3年後、ニューヨークで奇妙な事件が多発するようになる。長身でコートを着た謎の男に浮浪者たちが襲われ次々と行方不明になるのだ。。。

デル・トロ監督のホラー映画のテイストがよくわかる作品。決してスプラッタに走らず、雰囲気で見せていく。深夜に教会から逃げ出す牧師を追いかける謎の人物。牧師は追い詰められ、地下室に引きずり込まれる。見えない男の不気味さが恐怖感を煽っていく。

あるいは、主人公の女性研究者が深夜に一人、研究室に籠もって作業をしている。ふと気がつくと、閉めていたはずの窓が開いており、雨水が吹き込んでいる。何者かの侵入の気配を感じて部屋の中を確認するが誰もいない。しかし、実は侵入者は彼女をじっと見つめている・・・。

こういう演出は、とても古典的で典雅にすら感じられる。長身でコートを来た謎の男が、ただ暗闇の中に立ってこちらを見つめている。これが恐怖をもたらすという演出。40年代から50年代の古典的ホラーでよく使われた演出法をデル・トロ監督は現代に蘇らせた。

その後、この映画は意外な形に展開し、バイオ・パニック映画に変わっていくのだけど、そこでもデル・トロ監督の古典趣味は変わらない。大恐慌時代に使われていた地下鉄車両や使われなくなった地下鉄の巨大な空間がレトロな雰囲気を醸し出す。やはり、デル・トロ監督は、古典的なホラー映画を現代に蘇らせようとしている。

モンスターの造型も非常にユニークで、ビジュアルでも見せる。やはり、デル・トロ監督の作品はハズレがない。もっと、過去の名作ホラーのリメイクに取り組んでほしい。

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