リチャード・アッテンボロー監督「遠すぎた橋」

またまたBSの戦争映画でリチャード・アッテンボロー監督「遠すぎた橋」を見る。NHKとしては、やはり8月は戦争映画をメインに据えなければならないのでしょうね。でもおかげで、昔見た戦争映画を見直す良い機会になった。

「遠すぎた橋」は、1977年の作品。「史上最大の作戦」の公開から10年以上が経ち、第二次世界大戦も生々しい体験から歴史的記憶へと変化しつつあった。だから戦争映画のテーマや描き方にも変化が見られる。

「遠すぎた橋」は、ノルマンディー上陸作戦から3ヶ月後の1944年9月に行われた「マーケット・ガーデン作戦」を描く。モントゴメリー元帥が功を焦って立案した無謀な作戦の顛末がテーマ。タイトルの通り、空挺部隊が多大の犠牲を払って戦略的な要衝に位置する橋を確保し、侵攻する部隊が到着するまでの間、ひたすら敵の攻撃に耐えて持久戦を行う悲劇を描く。作戦上では、短期間に侵攻部隊が前線を突破して現地に到着し増援に入るはずだったが、現実には到着が遅れた上に、敵の抵抗に遭って足止めを食らい、最終的には彼らを見殺しにして撤退することを余儀なくされた。戦争映画の定石通り、映画は現場の困難と、責任を取らない上層部を対比させて描いていく。

出演は、ロバート・レッドフォード、ジーン・ハックマン、マイケル・ケイン、ショーン・コネリ、アンソニー・ホプキンス、ローレンス・オリヴィエ、ダーク・ボガード、ライアン・オニールなど。相変わらずのオール・スター・キャストだけど、役者も世代交代が始まっている。ショーン・コネリが、作戦の無謀さを見抜きながら、部下を率いて戦場に赴かざるを得なかった悲劇の将校を演じている。

映画を観ながら、リチャード・アッテンボロー監督というのは真面目な人だなと感じた。物語は破綻せずに、戦争の悲劇というテーマをきちんと語っていく。映像美も素晴らしい。空挺部隊が離陸する場面の整然とした動き。グライダーを率いて次々と飛び立っていく輸送機を追う映像は視覚的なインパクトがある。戦闘場面も、迫力ある銃撃戦が展開される。ただ、60年代の戦争映画に比べると、そうした画面の強度や美しさが増した一方で、そこに描かれる人間像が類型化してしまったような印象を受けるのも事実。それが、リチャード・アッテンボロー監督の個人的な資質によるものなのか、あるいは時代背景の差なのかはよく分からないけれど。。。。

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