ジャン・カルロ・サンティ監督「怒りのガンマン 銀山の大虐殺」

BSシネマで放映されたジャン・カルロ・サンティ監督「怒りのガンマン 銀山の大虐殺」を観る。監督は、マルコ・フェレーリの助監督を長く務め、セルジオ・レオーネの「続・夕陽のガンマン」や「ウェスタン」のセカンド・ユニットを担ったこともあるベテラン。但し、彼自身が監督した作品は3作のみで、日本語ビデオとして発売されているのはこの作品のみ。こんなマイナーなマカロニ・ウェスタンがどうして公共放送であるBSシネマで放映されたのかは謎だが、観てみると結構面白い。

物語は、駅馬車がとある宿場に到着する場面から始まる。いきなりガンマンに狙撃される駅馬車。御者が理由を尋ねると、死刑囚の脱獄犯が宿舎に立てこもっており、賞金稼ぎが彼の命を狙って宿舎を取り囲んでいるとのこと。それを聞いて、駅馬車から黒づくめの男が降り立つ。彼は、元保安官のクレイトン(=リー・ヴァン・クリフ)だった。クレイトンは、その脱獄囚を賞金稼ぎの手から守り、捕縛して街に連れ戻そうとするが。。。。

しかし、ここから物語は二転三転し、一筋縄では行かない展開を見せる。脱獄囚は何度もクレイトンの手から逃れ、賞金稼ぎは次々と現れ、さらに駅馬車に乗り合わせた謎の美女や母娘が加わって、幾重にも脱線を重ねていく。一行は、様々な経緯を辿って結局、クレイトンが保安官だった街にたどり着く。その町は、凶悪なサクソン一家が支配する街だった。脱獄囚は無実の罪を晴らし、さらに父の敵を討つために街に戻ったのだった。やがて明らかになる真実とは。。。。

よくありがちな物語だけれども、映画としての魅力的な細部にあふれている。例えば、脱獄囚が立てこもる宿にクレイトンが近づいていく冒頭の場面。井戸の陰や厩舎、屋根の上などに隠れている賞金稼ぎのそばをクレイトンがゆっくりと通り過ぎる。その度に、クレイトンは賞金稼ぎにちょっかいを出し、彼らのありかを脱獄囚に指し示す。そして、脱獄囚が宿から飛び出す。撃ち合いの中、脱獄囚はクレイトンが場所を指し示してくれたおかげで着実に賞金稼ぎを倒していくのだが、その動きが荒唐無稽で魅せる。屋根の上の敵を撃ち落とし、死体が荷台に落ちてくる反動で自身は空高く屋根の上までジャンプしてさらに敵を打ち倒し、続いて反対側から飛び降りる。。。。という派手なアクション。これは面白い。

マカロニ・ウェスタンの醍醐味を味わうことが出来る作品でした。リー・ヴァン・クリフの苦み走った演技も秀逸。まだまだ、映画史には発掘すべき名品が多々あることを実感した次第です。

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