「あやしい絵」展@東京国立近代美術館

東京国立近代美術館で「あやしい絵」展を観る。この展覧会は結構人気が高く、実は先週の土曜日に観ようと思ったら長蛇の列ができていて2時間待ちと言われ断念した。その後、新型コロナウィルスの蔓延防止措置が出されたこともあり、美術館はオンライン予約システムを導入した。お陰で、今回は、問題なく入館できた。これからは美術館も積極的にオンライン予約システムを活用してほしい。

展覧会は、タイトル通り、明治以降の日本の洋画と日本画の発展の中で生まれた「あやしい絵」を辿った企画展。「あやしさ」は、幕末の混乱した世相におけるエロ・グロの浮世絵や錦絵、あるいは近代的な自我の確立と共に生まれた個性や愛の表出、神話や異界への関心、耽美主義、狂気と退廃などから生まれる。これまで、近代日本美術の教科書で、異端視されたり正統な地位を与えられなかったりしてきた作品に脚光があてられることで、改めて近代日本の発展を多層的に見直すことができるように企画されている。そういう意味では良い展覧会だと思う。

以下、気になった作品を紹介しておきます。

木村斯光 「清姫」
橘小夢 「水魔」
甲斐庄楠音 「幻覚(踊る女)」
岡本春草 「拳を打てる3人の舞妓の習作」
秦テルヲ 「母子」
稲垣仲静 「猫」

どうでしょうか。結構、インパクトのある絵が多いですね。さすがは東京国立近代美術館。コレクションが充実していますから、こういう企画展では威力を発揮します。

特に、秦テルヲのように、ほとんど正規の絵画教育を受けず、貧困の中、独学で社会の底辺の人たちを描いた作品が大きく取り上げられていたのは収穫でした。晩年には仏教の信仰へと向かったという彼の作品の軌跡を辿っていくと、アートとは技法やスタイルではなく、何よりも自己の表現の欲求の具体化だと言うことが分かります。その独自の探求が、時にピカソやルオーに似てしまうところが、アートの不思議なところだと感じました。

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