アートを巡る旅 in 京都(2)

続いて、これも新たに開館した福田美術館へ。本当は、去年の開館記念「福美コレクション」展を見たかったんだけど、去年はなかなか時間が取れなくて、今回、ようやく訪問することができた。

こちらの方は、日本画を中心とした個人コレクションを一般に公開する美術館。嵐山の閑静な住宅街の一角にあり、落ち着いた外壁と、緑と水の豊かな日本庭園が配された美術館で、こちらも気持ちの良い空間。ガラス張りの壁面から美しい日本庭園を鑑賞し、さらにその向こうに嵐山の桂川と渡月橋を見渡すことができるという贅沢で趣味の良い美術館である。カフェも落ち着いた雰囲気。嵯峨・嵐山にまた一つ観光名所ができた。

カフェから見た日本庭園。水をはった緑の空間が心地よい。

今回は、「大観と春草」展。東京美術学校の同期で、「朦朧体」を主導し、日本画の変革を目指して行動を共にしてきた二人の画業を振り返る展覧会。僕は個人的には春草の方が好きだ。色彩感覚も素晴らしいし、何よりも筆捌きが素晴らしい。卓越した技法と飽くなき探究心にはいつもはっとさせられる。大観もきらいではないし、晩年の生々流転などのモノクロの作品群は素晴らしいと思うけれど、どうも大観にはムラがあるような気がする。特に、人物画は豪放というか雑な感じがする。大家だし、富士山や波濤を描いたら絶品だけど、春草の才能に比べるとちょっと見劣りがするというのが僕の意見。

菱田春草「梅花白描」(部分)

ということで、今回ももっぱら春草の作品を楽しみました。色彩も、空間感覚も、構図もすごい。残念ながら、春草は目の病にかかって視力が弱くなり、早世します。晩年の作品も展示されていて、初期の美しい色彩がモノクロームに変化し、筆致も粗くなっていくのを見るのはつらいけれど、その中でも表現の探求を続ける春草の絵に対する姿勢には襟を正される思いがする。良い展覧会でした。

菱田春草「楊柳観音」。視力が衰えた春草が画業の回復を祈願して描いた祈りの作品。

ちなみに、見損ねた「福美コレクション」展のカタログを購入したのだけど、傑作揃いで圧倒されました。これを一気に見ることができたなんて。。。やはり無理してでも開館展に来れば良かったと後悔することしきりです。まあ、これから定期的にここを訪れれば良いのだけど。。。

横山大観「霊峰不二」
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